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解説 | 住所・名寄せ

その住所、「一之江」と「一之江町」を取り違えていませんか

頭がそろう町名は、全国の市区町村の半数にある。住所の照合で起きる、気づきにくい取り違え

公開日:2026年10月16日 / 合同会社オンエーケー

東京都江戸川区には、「一之江」と「一之江町」という町名があります。「町」が付くかどうかだけの違いですが、別の場所で、郵便番号は132-0024と134-0092、上3桁から違います。名古屋市西区の「城西(じょうさい)」と「城西町(しろにしちょう)」は、読み方まで違います。大阪市北区の「曽根崎」と「曽根崎新地」のように、後ろに文字が続く組もあります。

キャンペーンの応募や会員登録で集めた住所は、町名の一覧と照らし合わせて、町名と番地に切り分けてから、重複のチェックや地域別の集計に使います。このとき、「一之江町」の住所が「一之江」として扱われることがあります。誰もそう作ったつもりはないのに、です。

01 WHYなぜ、短い町名に当たってしまうのか

住所の照合を専門に作られた仕組みは、ふつう長い町名を優先して当てます。取り違えが起きるのは、その外側です。

・表計算ソフトで、町名の一覧を上から順に照らし合わせる:一覧は読み仮名やコードの順に並んでいることが多く、「曽根崎(そねざき)」は「曽根崎新地(そねざきしんち)」より先に来ます。「住所の頭が一致した最初の町名」を採ると、短いほうに当たります
・前方一致で検索して、最初の候補を選ぶ:「曽根崎」で始まる町名を探すと、候補の一番上に「曽根崎」が出ます。手作業で住所を直すときも同じです
・あとから付け足した処理:本来の照合とは別に、急ぎで作った集計や抽出の処理が、短いほうから当てていることがあります

「大阪市北区曽根崎新地1丁目」が「曽根崎」に当たると、残りは「新地1丁目」になります。

曽根崎 +「新地1丁目」 → 番地として読めない。または「曽根崎」の住所として扱われる
曽根崎新地 +「1丁目」 → 正しく切り分けられる

02 COUNT全国で数えてみた

日本郵便が公開している郵便番号データ(2026年9月30日更新)を使い、同じ市区町村の中で、ある町名が、別の町名の頭にそのまま含まれている組を数えました。

8,546組頭がそろう町名の組
955そうした組がある市区町村(郵便番号データ上の1,892のうち。政令指定都市は区ごとに数えた)
92%郵便番号が異なる組の割合(7,860組)

47都道府県すべてにあります。

市区町村短い町名頭がそろう、長い町名
東京都江戸川区一之江一之江町
名古屋市西区城西城西町
大阪市北区曽根崎曽根崎新地
川崎市中原区小杉小杉町、小杉御殿町、小杉陣屋町
横浜市緑区長津田長津田町、長津田みなみ台
宮城県大崎市古川「古川」で始まる町名が、ほかに94

「一之江」と「一之江町」のように、「○○」と「○○町」が同じ市区町村に並ぶ組だけで、880組あります。そのうち765組は郵便番号が違い、26組は一之江のように上3桁から違います。

数え方:日本郵便「郵便番号データ(読み仮名データの促音・拗音を小書きで表記するもの)」の全国一括データを使用。複数行に分かれた町域は1つにつなぎ、町域名から括弧書きの部分を除いた。「以下に掲載がない場合」「○○一円」の行、高層ビルの階ごとの行、「○条」「○地割」のように続きが数字で始まる組は除外。郵便番号が異なる組は、2つの町名に共通する郵便番号が1つもないものを数えた。郵便番号データの町域は、実際の住所の書き方と一致しない場合がある。データは毎月更新されるため、件数は変わりうる。

03 TWO KINDS気づける取り違え、気づけない取り違え

気づける取り違え

「曽根崎新地1丁目」が「曽根崎」に当たり、残りが「新地1丁目」になると、番地として読めません。この場合は住所の不備として目に留まります。ただ、不備として外したまま確かめなければ、正しい住所の人が、当選品の発送や案内の送付から漏れます。

気づけない取り違え

危ないのは、残りがそれらしい番地に見えてしまう場合です。たとえば「一之江町」に住む人が「町」を省いて「一之江」と書くと、文字の上では「一之江」の住所と区別がつかず、照合も通ってしまいます。

このとき手がかりになるのが、一緒に書かれた郵便番号です。「一之江」は132-0024、「一之江町」は134-0092。町名と郵便番号が食い違っていれば、どちらかが誤っていると分かります。

こうした食い違いは、どこからでも同じように入るわけではありません。郵便番号から住所を自動で入れるWebの入力フォームでは起きにくく、はがき・電話・手書きの申込書を人が入力した住所に偏ります。同じ人がWebとはがきの両方で応募すると、住所が一致せず、重複として見つけられないこともあります。

確かめるときは、データ全体を一度に見るより、入ってきた経路ごとに分けて見るほうが、取り違えの出どころをつかめます。

04 CHECK手元のデータで確かめる

郵便番号と住所の列がある応募データや会員データなら、表計算ソフトで確かめられます。

  1. 郵便番号で絞り込んで、町名を見る上の表の組が自社の対象地域にあれば、長い町名の郵便番号(たとえば「一之江町」の134-0092)で絞り込みます。
    住所に「一之江町」が含まれていない行があれば、取り違えか、書く側の誤りです
  2. 町名の続きの文字で、番地や建物名の列を検索する町名と番地が別の列に分かれているなら、番地や建物名の列を「新地」「公園」「町」などで検索します。
    町名の続きが番地の列に入っている行は、短い町名に当たった跡です

自社の対象地域にどんな組があるかは、次の「市区町村名で探す」で調べられます。

06 FROM THE FIELD郵便番号7桁化のころから、変わらない落とし穴

OnAKの代表は、1998年の郵便番号7桁化のとき、住所から町名を読み取って新しい郵便番号を付け直す変換を、数十社から受託しました。住所の照合は、それ以来続けてきた仕事です。

頭がそろう町名は、そのころからある落とし穴です。仕組みが新しくなっても、表計算での作業や、急ぎで付け足した処理の中に、同じ取り違えが残ります。

SOURCES出典

※ 本稿の件数は、上記の郵便番号データをもとにOnAKが数えたものです。

関連資料:ホワイトペーパー VOL.1『データクレンジング入門』(表記ゆれ・重複・名寄せの基本)

気になっていることを、一行で。

一覧を見て「うちのデータは大丈夫か」と気になったら、一行だけでも構いません。データを送っていただく必要はありません。内容を伺い、確かめ方からお答えします。

合同会社オンエーケー(OnAK)は、データクレンジング・名寄せ・データ突合を専門とする会社です。